官僚・公務員の転職活動は違法?【禁止ではないが規制あり】

事前準備・考え方

こんにちは、あると(@alto-fiij)です。

私は、30代前半で国家公務員(いわゆるキャリア官僚)を辞め、民間企業に転職しました。

この記事にたどり着いた方は、「公務員を辞めて転職したい」と思っている方、「公務員は在職中に転職活動していいのかな?」と悩んでいる方かと思います。

この記事では公務員の転職活動に関する規制について、分かりやすく解説していきます。

結論から言うと、公務員の転職活動は違法ではありません。ただし、本省課長補佐級以上の方は注意が必要、係長級以下の方は特段問題ありません。

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【国家公務員の場合】在職中の転職活動の規制について

まずは事例として国家公務員の場合について確認していきましょう。

転職規制の対象:意思決定の権限を実質的に有しない官職とは

昭和二十二年法律第百二十号 国家公務員法
(在職中の求職の規制)
第百六条の三 職員は、利害関係企業等(営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)に対し、離職後に当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない。
② 前項の規定は、次に掲げる場合には適用しない。
一 (略)
二 在職する局等組織(国家行政組織法第七条第一項に規定する官房若しくは局、同法第八条の二に規定する施設等機関その他これらに準ずる国の部局若しくは機関として政令で定めるもの、これらに相当する行政執行法人の組織として政令で定めるもの又は都道府県警察をいう。以下同じ。)の意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で定めるものに就いている職員が行う場合
三、四 (略)

昭和二十二年法律第百二十号 国家公務員法

簡単に言うと「意思決定の権限を実質的に有しない官職についている職員には在職中の求職の規制は適用しない」こととなります。

そして規制されていることは「自己に関する情報を提供」、「当該地位に関する情報の提供を依頼」、「当該地位に就くことを要求し、約束」であり、

それぞれ「エントリー(履歴書や職務経歴書の送付)」、「企業やエージェントへの求人票の送付依頼」、「入社面接し、内定受諾」が当てはまるでしょう。

要は「転職」ではなく「転職活動」自体が規制されています。

「意思決定の権限を実質的に有しない官職」については政令に規定されています。

平成二十年政令第三百八十九号 職員の退職管理に関する政令
(意思決定の権限を実質的に有しない官職)
第七条 法第百六条の三第二項第二号の意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で定めるものは、国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)第二条第二項各号に掲げる職員以外の職員が就いている官職とする。

平成二十年政令第三百八十九号 職員の退職管理に関する政令

公務員の方は慣れっこかと思いますが、国家公務員倫理法にたらい回しにされていますね。

平成十一年法律第百二十九号 国家公務員倫理法
(定義等)
第二条 (略)
2 この法律において、「本省課長補佐級以上の職員」とは、次に掲げる職員をいう。
一 一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号。以下「一般職給与法」という。)の適用を受ける職員であって、次に掲げるもの(略)
イ 一般職給与法別表第一イ行政職俸給表(一)の職務の級五級以上の職員
(以下略)

平成十一年法律第百二十九号 国家公務員倫理法

つまり、「意思決定の権限を実質的に有しない官職」は本省課長補佐級ということがわかります。

逆に言うと、本省係長級以下であれば、在職中の求職の規制の対象とはなりません

ここでちょっとグレーなのは、キャリア官僚の方は俸給が官職に追い付かず、3級や4級で課長補佐になるケースが非常に多いことです。

所管の人事院の解釈を確認したわけではありませんが、私の解釈としては、国家公務員倫理法上では、「本省課長補佐級以上の職員」を俸給5級以上の職員としていますが、

職員の退職管理に関する政令においては、「俸給」ではなく「官職」を基準としているため、3級や4級の課長補佐についても在職中の求職の規制になるのではないかと思います。

そもそも求職規制の理念が、国家公務員として職務上執行すべき意思決定の権限を求職活動において利用することを抑止するためであることを考えると、重要なのは「官職」であって「俸給」ではないはずです。

転職規制の対象:利害関係企業等の範囲

さて、本省係長級以下の方は問題なく転職活動ができることがわかりましたが、

本省課長補佐級以上の方が転職活動をする際には法律違反にならないように、「利害関係企業等」の範囲をしっかりと確認する必要があります。

少し長いですが、利害関係企業等は以下のように規定されています。

平成二十年政令第三百八十九号 職員の退職管理に関する政令
(利害関係企業等)
第四条 法第百六条の三第一項の営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものは、職員が職務として携わる次の各号に掲げる事務の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等をいう。以下同じ。)をする事務 当該許認可等を受けて事業を行っている営利企業等、当該許認可等の申請をしている営利企業等及び当該許認可等の申請をしようとしていることが明らかである営利企業等
二 補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二条第一項に規定する補助金等及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十二条の二の規定により都道府県が支出する補助金をいう。以下同じ。)を交付する事務 当該補助金等の交付を受けて当該交付の対象となる事務又は事業を行っている営利企業等、当該補助金等の交付の申請をしている営利企業等及び当該補助金等の交付の申請をしようとしていることが明らかである営利企業等
三 立入検査、監査又は監察(法令の規定に基づき行われるものに限る。以下「検査等」という。)をする事務 当該検査等を受けている営利企業等及び当該検査等を受けようとしていることが明らかである営利企業等(当該検査等の方針及び実施計画の作成に関する事務に携わる職員にあっては、当該検査等を受ける営利企業等)

四 不利益処分(行政手続法第二条第四号に規定する不利益処分をいう。以下同じ。)をする事務 当該不利益処分をしようとする場合における当該不利益処分の名宛人となるべき営利企業等
五 行政指導(行政手続法第二条第六号に規定する行政指導のうち、法令の規定に基づいてされるものをいう。以下同じ。)をする事務 当該行政指導により現に一定の作為又は不作為を求められている営利企業等

六 国、行政執行法人又は都道府県の締結する売買、貸借、請負その他の契約(以下単に「契約」という。)に関する事務 当該契約(電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付として内閣官房令で定めるものを受ける契約を除く。以下この号において同じ。)を締結している営利企業等(職員が締結に携わった契約及び履行に携わっている契約の総額が二千万円未満である場合における当該営利企業等を除く。)、当該契約の申込みをしている営利企業等及び当該契約の申込みをしようとしていることが明らかである営利企業等
七 検察官、検察事務官又は司法警察職員が職務として行う場合における犯罪の捜査、公訴の提起若しくは維持又は刑の執行に関する事務 当該犯罪の捜査を受けている被疑者、当該公訴の提起を受けている被告人又は当該刑の執行を受ける者である営利企業等

平成二十年政令第三百八十九号 職員の退職管理に関する政令

嚙み砕くと以下のとおりです。

  • 許認可や補助金等の業務に従事している場合、その許認可先や交付先になりうる企業
  • 不利益処分や行政指導に関する業務に従事している場合、その検査先や指導先になりうる企業
  • 2,000万円以上の業務や工事等の契約・履行を業務として実施している場合、その契約先になりうる企業

つまりは、「所掌事務に関する民間企業への転職」、「現状の業務で契約関係にある企業への転職」はNGとなる可能性が高いのしっかりと確認が必要です。

国家公務員の方は、以上の内容で転職に関する規制のポイントは抑えられるかと思いますが、詳細について、内閣人事局のHPも一度目を通しておくといいでしょう。

内閣人事局|国家公務員制度|退職管理・再就職等規制

【地方公務員の場合】所属する自治体の条例・規則等を確認

地方公務員の場合は条例等で同様の規定がなされているかと思いますので、所属する自治体の条例規則等を参照していただければとおもいます。

例えば東京都の場合は、「東京都職員の退職管理に関する条例」、「東京都職員の退職管理の運営等に関する規則」に記載があります。

東京都職員の退職管理に関する条例 平成二七年一二月二四日 条例第一二七号
(在職中の求職の規制)
第三条 職員(略)は、利害関係企業等(営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして人事委員会規則で定めるものをいう。以下同じ。)に対し、離職後に当該利害関係企業等若しくはその子法人(法第三十八条の二第一項に規定する子法人をいう。以下同じ。)の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない。

2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一、二 (略)
在職する執行機関の組織等の意思決定の権限を実質的に有しない職と認められるものに就いている職員が行う場合
四 (略)

東京都職員の退職管理に関する条例 平成二七年一二月二四日 条例第一二七号

東京都職員の退職管理の運営等に関する規則 平成二八年二月二九日 規則第七三号
(在職する執行機関の組織等の意思決定の権限を実質的に有しない職)
第三条 在職する執行機関の組織等の意思決定の権限を実質的に有しない職と認められるものは、職員(警視庁の職員及び東京消防庁の職員(消防総監を除く。)を除く。以下同じ。)のうち次に掲げるものが就いている職とする。
一 職員の給与に関する条例(昭和二十六年東京都条例第七十五号。以下「職員給与条例」という。)第五条第一項第一号に規定する行政職給料表(別表第一)の適用を受ける職員であって、同号イに規定する行政職給料表(一)(以下単に「行政職給料表(一)」という。)の職務の級が三級以下のもの又は同号ロに規定する行政職給料表(二)の職務の級にあるもの
二 (略)
学校職員の給与に関する条例(昭和三十一年東京都条例第六十八号。以下「学校職員給与条例」という。)第七条第一項第一号に規定する教育職給料表(別表第二)の適用を受ける職員のうち職務の級が四級以下のもの
(以下略

東京都職員の退職管理の運営等に関する規則 平成二八年二月二九日 規則第七三号

行政職だけでなく、教員についても同じく記載がありますね。

東京都の人事 | 東京都職員の退職管理

まとめ:官僚・公務員の転職活動は違法ではない

まとめると以下のとおりです。

POINT!

官僚・公務員の転職活動は違法ではない

国家公務員の場合、本省課長補佐級以上は求職の規制に抵触しないか確認が必要

地方公務員の場合、所属する自治体の条例・規則等を確認

公務員の方は、難易度の高い試験を突破していることもあり、非常に優秀な方が多いと思います。

ただし、民間企業への転職という観点では、若い方が有利なことは間違いありませんので、級が上がり転職規制がかかる前に転職活動をはじめるのがおすすめです。

また、私が実際に官僚を辞め、民間企業に転職した際に感じたことは、「官僚や公務員は転職市場では一風変わったキャリアを持つ人」であるということです。

そんな「転職市場では一風変わったキャリアを持つ人」におすすめの転職サイトや転職エージェントは、

【公務員から民間】実際に使ったおすすめ転職サイト・転職エージェント【4選】で詳しく解説していますので、こちらもあわせて参考にしていただければと思います。

この記事があなたのより良い転職に繋がれば幸いです。

では、また。

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