公務員から民間企業への転職を考えている方の多くは
- 公務員から民間企業の転職は難しいのでは?
- 公務員から民間企業に転職するために何をアピールしたらいいか分からない…
- 公務員から民間企業にうまく転職できたとしても使い物にならないのでは?
という悩みを抱えているのではないでしょうか。
私は20代、30代と大きく分けて2回転職活動をしており、
20代(1回目)の転職活動では思うように内定が出ず、公務員から民間企業への転職は難しいのではないかと悩んでいました。
しかし、自分の強みを見つめ直し、面接でのアプローチを工夫したところ、複数の戦略コンサルタントや大手企業から内定を頂き、
最終的には、30代前半で国家公務員を辞めて倍率500倍超の民間企業に転職できました。
そして、ただ転職ができただけでなく、転職後も公務員時代の経験や感覚を頼られたり、
入社数か月後にはプロジェクトのメイン担当を任されたりするほど信頼されて仕事が出来ています。
この記事では、私の経験に基づいて、
- 公務員から民間企業への転職は難しいか
- 公務員から民間企業への転職で意識したい公務員の「強み」と「弱み」
- 公務員から民間企業への転職後に活躍できるか
- 公務員から民間企業への転職が難しい本当の理由
- 公務員から民間企業への転職を成功させる秘訣
について解説したいと思います。
公務員の方は周りに転職経験者が少なく、転職に関する情報収集が難しいかと思いますが、
この記事を読めば、公務員であることの強みを理解して転職活動に臨めるため、書類選考や面接選考の通過率がグッとあがりますよ。
- この記事を書いた人
- ≫ あると(@alto-fiij)元国家公務員 (いわゆるキャリア官僚)
- ≫ 30代前半で倍率500倍の超ホワイト企業に転職。
- ≫ 転職時年収200万円UP。その後昇格し、転職後2年で年収は2倍以上に。
公務員から民間企業への転職は難しいか
公務員から民間企業への転職の難しさは年代毎で大きく変わります。
- 20代:普通に転職可能
- 30代前半:多少難しいが大きなハンデとはならない
- 30代後半以降:難易度はそれなりに高い
結局、公務員から民間企業への転職は「未経験業界・業種への転職」です。
「ビジネス感覚の有無」や「難易度の高い試験を突破した頭脳」など多少の差し引きはありますが、
難易度としては「未経験業界・業種で民間企業から民間企業に転職する」と大きく変わらないと思います。
転職タイミングは早ければ早いほど有利であることは間違いありませんが、
実際に私の周りでも多くの公務員が民間企業への転職を成功していますし、
公務員から民間企業への転職が特別難しいものではありません。
公務員から民間企業への転職で意識したい公務員の「強み」と「弱み」
公務員から民間企業への転職前と転職後を分析する前提として、まずは公務員の「強み」と「弱み」について考えたいと思います。
もちろん個人差はあるかと思いますが、私はおおよそ以下については当てはまる方が多いのではないかと考えます。
- 公務員の「強み」
- 多くの関係者と調整しながら(巻き込みながら)物事を進める力
- 物事を分かり易くかみ砕いて説明する力
- 公務員の「弱み」
- 専門性のなさ
それぞれについて解説していきましょう。
【強み】多くの関係者と調整しながら(巻き込みながら)物事を進める力
公務員の業務は良くも悪くもしっかりと組織化(縦割り化)されている上に、担当者の判断では決定できる範囲が狭く、チームプレーが余儀なくされます。
私も公務員時代は概ね省内だけでも50を超える担当係とのやりとりは常に発生しており、
それぞれで利害関係が異なるため、調整には苦慮した経験があります。(省外の関係者だとなおさら)
そのような多くの関係者との調整の経験は、民間企業での仕事でも十分活かせる部分であり、是非強みとして認識して頂きたいです。
【強み】 物事を分かり易くかみ砕いて説明する力
官僚や公務員の仕事を要約するのであれば、「物事を分かり易くかみ砕いて説明する仕事」と私は思います。
私のように霞が関で働く人であれば上司や財務省、国会議員の先生に、
地方公務員で窓口業務をやられている方であれば住民の方に、
「専門用語を使わずに分かり易く説明すること」が仕事ではないでしょうか。
そして、分かり易いだけではなく、正確性も(時には必要以上に)求められますし、
急な対応で正直よくわからないこと(例えば20年前にどういう整理がされていたか等)の説明を求められることもあるかと思います。
そのため、日々の業務で「説明力」は相当鍛えられているはずです。
営業現場で鍛えられた方のように物を売るセールストークは苦手かもしれませんが、
論理的に物事を整理して説明することが求められる職場であれば「説明力」という強みは活かせると思います。
【弱み】専門性のなさ
もちろん公務員にも専門性はあるのですが、「民間企業でそのまま役に立つ専門性」という観点からは専門性を持たない人が多いのではないでしょうか。
ある分野の法律にすごく詳しくても、それが民間企業ではニッチ分野でしか役に立たないことということはままあるかと思います。
ある業界狙い撃ちで転職するのであれば、活かせるかもしれませんが、
「私の専門知識がそのまま御社で活かせます!」とアピールするには少し難しいかもしれません。
ただ、冒頭申し上げたとおり、公務員から民間企業への転職は「未経験業界・業種への転職」と大きく変わりません。
未経験業界・業種への転職では、そもそも専門性は大きく評価されないため、採用にあたっても大きく影響しないですし、
転職後もそこを求められて採用されている可能性はかなり低いかと思います。
公務員から民間企業への転職後に活躍できるか
厳しいことを言うと、内定を貰うことと内定後に社内で活躍することは別問題です。
ただ、私は元公務員は民間企業でも十分活躍可能と考えていまし、
実際に私の周りの元公務員の方のほとんどが民間企業でもしっかりと活躍しています。
公務員の強みは前述のとおりですが、公務員は民間企業の方と比べてもう一つ強みを持っています。
それは「新しい仕事に順応する能力」です。
公務員は通常1~3年程で異動を繰り返します。そして、着任後すぐにその担当のプロフェッショナルとして担当業務を理解する必要があります。
このジョブローテーションの多さと瞬時に順応する必要がある環境は公務員の大きな武器の一つとなるのです。
私の場合、転職後の職場からは「最初の3か月は社内のルールとかをゆっくり勉強してくれればいいよ。」と言われていましたが、
入社2か月後にはプロジェクトの社内方針決定の資料の作成などをしていました。(それでも個人的にはかなりゆっくりとした感覚でした。)
この記事を読んでいる公務員の方も面接官から「公務員から民間企業の転職ですが心配はありませんか?」と聞かれた場合は、
胸を張って「公務員ですので、仕事が変わるのには慣れていますのでその点では心配はないです。」と答えてください。
公務員から民間企業への転職が難しい本当の理由
実際に公務員を辞めて民間企業へ転職した私が思う公務員から民間企業への転職が難しい本当の要因は「現状維持バイアス」にあるかと思います。
公務員の方はそもそもの性質・性格として「安定志向」の方が非常に多いと思います。
そして、仕事の性質上仕方がないのですが、公務員の業務を通してその「安定志向」に磨きがかかります。
特に地方の場合、公務員の待遇は悪くない場合が少なくなく、現状の仕事に満足感はなくても
「2~3年もすれば異動があるから…」、「給料はよくないかもしれないけど安定はしているし…」と、
現状維持バイアスが働き、「現状を変えよう、良くしよう。」という判断ができなくなります。
まさに過去の私もそうでしたのでよく分かります。
そんな公務員の方に私が伝えたいことは「転職はリスクを伴うが、転職活動はノーリスクで出来る」ということです。
あなたが公務員を目指したとき、「安定しているから」だけで公務員を目指したわけではないと思います。
- 地元をもっと良くしたい
- この業界をもっと良くしたい
- 人の役に立ちたい
あなたが仕事を通して成し遂げたかったことは公務員でしかできないことでしょうか。
もしかしたら「公務員で働いた経験を持つ民間企業で働く人」のほうが実現できることもあるのではないでしょうか。
転職活動では、内定が出たら絶対に転職しないといけないわけでもないですし、
転職活動を経験することで公務員を続けるとしても本当に何をしたいのかを見つめ直すことができます。
公務員から民間企業への転職を成功させる秘訣
実際に公務員から民間企業への転職を成功させた私が転職活動時に意識していたことは以下の2つです。
- 公務員独自の強みをしっかりと理解すること
- 我流で進めずに転職のプロに相談すること
公務員独自の強みをしっかりと理解すること
私が実際に公務員から民間企業に転職した際に感じたことは、「公務員は転職市場では一風変わったキャリアを持つ人」であるということです。
前述のとおり、公務員から民間企業の転職は未経験転職となります。
同じような強みを持つ同業種、同職種の民間企業からの転職者がいた場合、企業は民間企業の方を採用するのは当たり前です。
なので、いざ転職の書類選考や面接選考に挑む際には、
- 民間企業ではなかなか鍛えにくい部分はどこなのか
- 公務員の強みとは何か
をしっかりを分析して挑んでいく必要があります。
逆にこの部分をしっかりと面接等でアピールできると、他の多くの民間企業の方と明確な差をつけることができ、有利に面接等を進めることができます。
我流で進めずに転職のプロに相談すること
転職の進め方や強み弱み分析等の転職活動の基礎的なところは、転職のプロである転職エージェントに相談するのがおすすめです。
公務員の場合、周りに転職経験者が少なかったり、友人が転職していても民間から民間の転職であるケースが凄く多いです。
繰り返しになりますが、公務員は「転職市場では一風変わったキャリアを持つ人」です。
公務員がどのような戦略で転職活動を進めていくべきか、転職エージェントは転職のプロの立場から経験も踏まえてアドバイスしてくれます。
もちろん、転職エージェントとの面談を通して、条件に合いそうな求人の検索や求人への応募、面接の日程調整や条件交渉など、膨大な手続き関係は転職エージェントが行ってくれます。
また、履歴書や職務経歴書といった書類作成についてもアドバイスをもらえたり、面接対策をやってもらえたり、
実際に企業から面接のフィードバックを聞き取ってもらえたりと、転職に慣れていない公務員に必須のサポートも万全です。
下手に我流で進めるのではなく、転職のプロにしっかりと相談することで転職活動を効率的に進めることができます。
実際に私も、転職エージェントに相談して色々なアドバイスを受けることで「こうやって転職活動を進めるのか!」と納得感を持ってスムーズに転職活動を進めることができました。
詳細は公務員から民間に転職成功!おすすめ転職サイト・転職エージェント4選でも解説しています。
過去の私のように「公務員に最適な転職エージェント探し」で無駄な時間を過ごさないためにも、参考にしてください。
結論としては、以下の4つのサービスがおすすめです。
おすすめ転職サービス
マイナビエージェント ≫ サポートが丁寧で手厚く、サポート期間が無期限。
リクルートエージェント ≫ 求人数No.1。転職関係のセミナーも充実。
doda ≫ 「残業20時間未満」での検索など、圧倒的に求人検索がしやすい。
ビズリーチ ≫ 時間効率が最も良い。現職が忙しい方に非常におすすめ。
【経験談】公務員から民間企業に転職した結果
私が実際に公務員を辞めて民間に転職して2年程が経ちますが、以下のような変化がありました。
- 転職時点で年収200万円アップ
- その後昇格して年収約1,300万円に(公務員時代の約2倍)
- 残業は「平均100時間/月」から「多くて20時間/月」に
- 家族と過ごす時間が増えた
- 仕事が自分の興味ある分野に特化できた
控えめに言って最高です!!
個人的には年収アップはおまけなようなもので、
家族と過ごす時間が増えたことで、基本的に毎日家族と食卓を囲み、平日も子供と遊んだりお風呂に入れることが何よりの幸せですし、
自分のキャリアとしてもやってみたいと思えることに挑戦できていることで充実感があります。
官僚時代の仕事もやりがいがあり素敵でしたが、残業が常態化している雰囲気が私には合わなかったので、今の環境への転職は正解だったかと思います。
まとめ:公務員から民間企業への転職が特別難しいわけではない
まとめると以下のようになります。
チェックポイント
公務員から民間企業への転職は未経験転職と大きく変わらない
「新しい仕事に順応する能力」も立派な公務員の強み
公務員から民間企業への転職を難しくする本当の要因は「現状維持バイアス」
転職活動を我流で行うのはNG。転職サービスの活用がおすすめ
「公務員は公務員としてしか働けない」と勘違いしている人もいるかもしれませんが、私は業界や職種を選べば十分に活躍可能と考えていまし、
実際に私も未経験転職となりましたが、すぐに職場になじみ活躍できていると感じています。
転職によって間違いなく人生は好転しました。
そして今の働き方に悩んでいる公務員の方は「現状維持バイアス」に取りつかれず、
まずは「転職」ではなく「転職活動」を通して、自分にとっての仕事を見つめ直してみることに大変意味があるかと思います。
実際に私も、初めての転職活動では転職はせず、2年間という時間をおいて最終的に転職をするという人生を選びました。
「公務員を辞める」という相談は、親やパートナーという自分の周りの人に相談しても「公務員を辞めるなんてもったいない!」という、
実情を知らない「現状維持バイアス」にまみれた回答が返ってきます。
なので転職の相談先としては、転職エージェントなどのプロに相談する方が第三者的な意見を貰えると私は考えています。
もしあなたが本当に転職すべきでないならば「あなたにこれ以上の求人はないので転職しない方がいいですよ」とアドバイスも貰えます。
転職にはリスクを伴いますが、転職活動はノーリスクで出来ます。
一度きりしかない人生、後悔しないためにも一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
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